田中内科クリニック
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糖尿病


みなさんも名前は知っているこの病気、いったいどんなものでしょうか。
尿に糖が出る病気と書いて糖尿病ですが、確かに血中の糖がある程度あがれば
尿中に糖がでてきます。昔はくみ取り屋さん(水洗のない時代に、各家のし尿をとっていた人、
実際にこういうかわかりませんが)がその家に糖尿の人がいると忠告していたそうです。
では、どれくらいの糖が血中(血糖といいます)にあると尿にでるのでしょうか。
およそ血糖値が160以上になると尿中に排泄されるといいます。
ですから尿検査で尿糖が陽性の人は要注意ですし、精査が必要です。
もともと糖は人間が生きていくためのエネルギーであり、ないと当然生きれません。
では、血糖が高いとエネルギーがたくさんあっていいのでは?と思われるかたもいるでしょう。
実は糖尿病とは、エネルギーである糖をうまく使えなくなる病気なんです。
血糖は各細胞(人間の身体はすべて細胞でできています)に運ばれ、インスリンという
ホルモンを使って細胞内にとりこみエネルギーとして使います。
糖尿病とは、このインスリンが少なくなったり、また、インスリンが作用しなくなって
血糖をうまく使えなくなる病気なんです。
みなさん、蒸気機関車を思い浮かべてください。
機関車本体がみなさん。石炭が糖。機関士がインスリンです。
機関士が石炭を上手にくべることによって、機関車は動きます。
石炭は常に補充されますから(みなさんが食事を摂ることです)、
機関士は常に石炭を釜にくべなければいけません。
もし機関士が怠け者だったら、あるいはいなかったらどうなるでしょう。
もちろん機関車は動きません。それどころか石炭がどんどん増えて故障してしまいます。
まさにその状態が糖尿病なのです。
血糖が高値のままだと、いろんなところに弊害がでます。
細い血管が特にやられ、それによって失明や腎不全や心筋梗塞、神経症などを起こします。
また、血糖が高いと免疫力も落ちます。細菌にたいして弱くなり、肺炎を起こしたり、
結核になったりします。ですから、血糖をコントロールする必要があるのです。
では、糖尿病の治療はどうすればいいのでしょうか?
糖尿病には2種類あります。生まれながらにインスリンが少ないあるいはない人や手術などでインスリン
を出せなくなった人がなる糖尿病と、インスリンがあるのにその作用が鈍くなる人がなる糖尿病です。
インスリンがないあるいは少ない人は、インスリンを補充するしか治療はありません。
今問題になっているのは後者の糖尿病です。その原因の第一は肥満です。
肥満になると、インスリンの作用が鈍くなります。それに加えてもともと肥満ですから、糖を多く
摂ることが多いのです。それによって糖尿病がどんどん悪くなります。
まず必要な治療は痩せることです。それによってインスリンの作用を回復させます。
ですからまずは食事、運動によって適切な体重にすることが治療の第一になります。
それでもダメな場合は薬物治療になります。糖尿病の薬物にはいくつか種類があります。
適切な治療をかかりつけ医とよく相談し、治療を行ってください。